災害大国日本で、今心配だといわれているのは、大地震の発生です。

日本は地震大国。世界で起こるM6以上の地震の、約2割がこの小さな国土の周辺で起こっています。地震の発生域は、地球表面を覆うプレートの境界とほぼ一致しています。日本の国土の下には、4つのプレートがあります。その2つの海側のプレートが2つ陸側のプレート方向に年間数cm動き、その境界で発する強い力が地震を発生させるのです。特に、フィリピンプレートが北米プレートの下に沈み、その下に太平洋プレートが沈み込むという複雑な構造となっています。これにより、地震が多発する環境となっているのです。

※国の中央防災会議による被害想定が行われています。

その予測は、未曽有の大災害を示しています。

ここでは、南海トラフ地震と首都直下地震について説明します。

南海トラフ大地震

南海トラフを震源とする地震。発生確率 M8-9 30年で80%。

南海トラフ地震は、駿河湾から日向灘沖にかけてのプレート境界、東海、近畿、四国、九州地域と非常に広域にわたる範囲の震源域として、概ね100~150年間隔で繰り返し発生してきた大規模地震。前回の南海トラフ地震(昭和東南海地震(1944年)及び昭和南海地震(1946年)が発生してから70年以上が経過した現在では、次の南海トラフ地震発生の切迫性が高まってきています。

南海トラフ巨大地震がひとたび発生すると、静岡県から宮崎県にかけての一部では震度7、それに隣接する周辺の広い地域では震度6の強い揺れが数分間続くと想定されています。

注意ポイント
特に津波による被害予測が甚大。

関東地方から九州地方にかけての太平洋沿岸の広い地域に津波が襲来。震源域が陸と近いため、到達時間が短いのが特徴。数分で最大10mを越える大津波の襲来が想定されています。津波の死者は最悪23万人と予測されているのです。

津波に注意!!
津波の高さが低くても、
命に関わる大きな破壊力を持ちます。

津波深度被害
30cm退避行動が取れなくなる。
50cm車やコンテナが浮き出す。
100cm車が流されるなど、漂流物多。巻き込まれると、ほとんどの人が亡くなる。
2m木造家屋半数全壊。
3mほとんどが全壊。
5m2階建ての建物水没、全壊。
10m3階建て程度の建物、完全に水没。8割程度の建物が流出しだす。
15m4階建て程度の建物、水没。
20m鉄筋コンクリートビルも全面破壊。

「波」ではなく、津波高の「建物」が押し寄せる。
そのエネルギーは膨大!
自分の地域のハザードマップで確認し、

逃げる方法もシミュレーションをしましょう。

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注意ポイント
多大な範囲での被災が予測されます。自助の力を育てましょう。

南海トラフ地震では静岡から宮崎までの多数の県にわたり、数千万世帯が被害を受け、数百万人が避難者として
サポートを必要とする状況に陥ります。従来の国や自治体、公共団体の支援や、医療体制も機能しにくくなる
可能性が高いのです。また、想定以上の避難者が発生するため、避難スペースや仮設トイレが確保できずに、
劣悪な環境下での避難生活が予測されます。

公助に頼らない、
職場や学校などのコミュニティでの防災。
また、自分の家での防災対策、

防災備蓄の充実が不可欠なのです。

首都直下型地震

北米プレート上、フィリピンプレートと太平洋プレートの境界ないしは活断層。 発生確率 M7 30年で70%

首都直下地震とは特定の地震を指す言葉ではなく、東京の周辺を含めたどこかでM7級の地震が起きることの総称として、国は警戒しています。
南関東、国の3割の人口が集中。また国の根幹の機能が集中しているため、国の機能のストップ、経済損失も莫大になる。

①南関東地震 フィリピン海プレートの上面で起きる海溝型地震。

M8.発生期間は200年から400年。対象関東地震1923年から100年が経過。

日付地震名マグニチュード
1782年8月23日天明小田原地震M7.0
1853年3月11日嘉永小田原地震M6.7
1855年11月11日安政江戸地震M6.9
1894年6月20日明治東京地震M7.0
1894年10月7日東京湾付近の地震M6.7
1895年1月18日茨城県南部の地震M7.2
1921年12月8日茨城県南部の地震M7.0
1922年4月26日浦賀水道付近の地震M6.8
1703年の「元禄関東地震」(M8.2)と1923年の「大正関東地震(=大正の関東大震災)」(M7.9)の間に 起きた、8つの地震を考察し予測されたもの。

②フィリピン海プレートと太平洋プレート境界ないし内部、あるいは活断層。

首都直下型と言われるのは、首都の直下、比較的浅い活断層により引き起こされる地震。生活圏の直下で起こるため地上を襲う揺れはすさまじく、阪神・淡路大震災(1995年1月17日発災)、新潟県中越地震(2004年)、熊本地震(2016年)など、いずれも最大震度は7を記録。首都直下型地震でも、首都圏に甚大な被害をもたらす、大災害となると予測されています。

こちらの地震には目立った周期性がなく、いつどこで起こるかわかっていないのです。

国の中央防災会議は、首都圏で起きる可能性のあるM7クラスの地震シミュレーションの中から、緊急性の高い19カ所の地震を起こす断層を特定し、警戒を呼びかけています。

M7. 100年あたり2から3回の割合でおきている。
こちらが緊急性が高いと言われています。

多数の発震源から、様々なパターンで予測がされています。

首都中枢機能への影響が最も大きいと考えられるのが、都心南部の直下で起きるマグニチュード7.3の大地震。

現実となる日が近い!?
しっかり知り、備えることが重要!!

注意ポイント
首都直下型地震の被害を認識しよう。
  • 都心部を囲むように分布している「木造建物密集市街地」などで、耐震化されていない家屋、ビルの倒壊および損壊が多数発生。
  • 都市部周辺に広がる「木造家屋密集地域」で火災の多発と延焼。「木造家屋密集地域」では、道路幅が狭く、消防車両の侵入が困難な場合が多い。初期消火活動は周辺の住民で、協力しながら行う必要があります。
  • 大量の帰宅困難者の発生。都心には、東京郊外や他県からの通学、通勤者が多くいます。被災時には電車などの交通インフラの途絶により、大量の帰宅困難者の発生が予測されています。駅舎スペースは限られ、避難所へは入れず、野宿を余儀なくされる場合も。また、長距離を徒歩で帰る可能性も、高いのです。2次被災を避けることも重要です。企業、学校などでは、帰宅困難者を出さないため、3日間は、コミュニティにとどめおけるよう、防災備蓄や安否確認方法などを整えましょう。
  • 自宅から事業所に参集できなくなる可能性も。一度、帰宅をすると、電車などインフラの復興遅れなどに伴い、新たに参集が出来なくなる可能性があります。震災後の事業所の運営を事前に打合せしておくことが重要です。
  • 被害想定、日本にとって深刻で甚大なもの。
最大死者数2.3万人(直接死のみ) 阪神淡路の3.5倍。 全壊および消失棟数 61万棟 阪神淡路の5.5倍。
帰宅困難者東京都市圏で最大800万人。そのうち東京都で490万人。
避難者最大2週間後に720万人。(停電などライフラインの途絶により)
経済的被害95兆円(ほぼ国家予算に匹敵)
ライフライン【上水道】
断水、利用者の5割で発生(トイレの使用不可)。地域により復旧は数週間かかる。

【下水道】
利用者の1割で使用不可。 復旧には何か月もかかる場合も。

【停電】
都区内で5割。 発災直後は9割が通話規制。

【交通】
環状8号線内で、深刻な交通麻痺状態が発生。緊急車両、医療活動など著しい影響が出る可能性が大。地下鉄は1週間。私鉄、在来線は1か月程度の運行停止。被害の大きい港湾は、復旧に2年以上かかる場合が。非耐震岸壁では、多くの施設が機能停止。
  • 避難所での生活。避難所が不足。入れても、硬い床、慣れない集団生活、飲食の不足、トイレの不足と劣悪な環境、水のない状況での不衛生状態、など、避難所生活は過酷なものとなると考えられています。
食べ物の不足発災1週間で最大3400万食の不足。
飲料水の不足発災1週間で最大1700万ℓの不足。※1日一人3ℓとして。

必要な対策を…

地震対策

家屋の耐震化、家具の転倒防止、落下物の防止など、対策が必須。

火災対策

耐震ブレーカーや、消火器の設置(使用方法の確認)、防災訓練などを実施。

飲食備蓄

最低3日間、できれば7日間の食物、飲料水の備蓄が必須。

トイレ対策

公的なトイレは使用不可となることが多い。健康に直結。備えが必須。
※高層マンションの場合、エレベーターが長期間止まることを前提に対策を。
※企業、学校などでは、従業員、生徒、教職員などが一時滞在施設として使用する。
機能を持つため、備蓄対策を。

過去繰り返し発生してきた、M7クラスの「首都直下型の大震災」。今後には「間東大震災」のような、M8クラスの発生も考えられるのです。

今、私たちは「災害のリスク」を正しく認識し、
しっかりと、ひとつずつ、
対策をしていきましょう。

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