このサイトでは、災害に関する被災者の方の体験を一部公開しています。そのため、ご覧になった時に精神的なストレスを感じられる方もいらっしゃる可能性があります。ご自身の判断にてご覧いただきますようお願いいたします。

女性の視点での防災って…

東日本大震災で着目されたのは、「女性の視点の防災の必要性」でした。

被災時、「女性」特有の問題ってなんでしょうか…。

「被災時に女性が被る、様々な問題がある。」という事実。東日本大震災の際も、女性関連の支援物資が十分でない状況、暴力の発生、着替え場所もないような、女性への配慮を欠いた避難所の実態があったのです。

あまりに大きな被害の陰に隠れ、女性たちに声はとどきにくい状況でした。また、被災者が一丸となって頑張る「絆」という言葉が広がり、その実態について、声を上げることもしにくくなってしまったという声も。

ですが、東日本大震災ではインターネットの力もあり、現場で起こる様々な問題が少しずつ表面化、少しずつ認識され、様々な自治体や組織で、防災に対して「女性の視点の必要性」への提言がなされました。まさに、女性視点、災害とジェンダーの研究が促進される機会となったのです。

大規模災害の発災が予測されている現在、その時に傷つき、悲しい思いをする女性が生まれないようにしたい。それにはまず、私たち“女性自身”が「女性被災者たちの現実」を知ることから始まるのです。

防災においての「女性」には、「女性という性別からの問題」と、「社会的、文化的に作られた女性という性、役割分担に伴うジェンダーの問題」があります。

現地調査からの課題

防災用品について

まずは、分かりやすいところから…。

「東日本大震災」の後、様々な調査から、「女性のための防災用品」の必要性が言われています。

東日本大震災では、避難所で「女性の必需品」が備蓄されておらず、その入手が大変難しかった状況がありました。その後、公的な避難所などでは、備蓄用品に関しての細かい対応がなされるようになったといわれています。が、被災時、避難所の運営が組織化され、動き出すまで時間がかかる場合もあります。まずは、自分たちでしっかりと備蓄しておきましょう。

生理中に被災、トイレやお風呂だけでなく水がない、メイクが落とせない、下着も替えられない、肌荒れやニオイだけでなく、かぶれや膀胱炎などのトラブルを発生してしまった方も多かったのてす・・・・。

女性のための防災用品

必需品は太字にしています。

  • ブラジャーまたはカップ付Tシャツ
  • 替えの下着
  • 動きやすい衣服
    スウェット上下など、上着とボトム
  • 大判ストール
    寒さ防止等様々な使い方ができる。大判のストールは肩にかけたり、就寝時に体にかけたり、様々に使用いただけます
  • 歩きやすい靴、靴下
  • 背負える袋
    両手を開ける
  • 手袋
  • 髪ゴム
  • くし、ブラシ
  • 化粧水
  • 保湿クリーム(ハンドクリーム)
    炊き出しで水を使いっぱなしで、手があかぎれで切れたという人も。
  • リップクリーム
  • 洗顔せっけん
  • アロマオイル(ニオイ、リフレッシュ)
  • 全身を拭けるタイプのウエットティッシュ
    デリケートゾーンも拭けるとgood!
  • 携帯ビデ
  • アルコール、除菌ジェルなど
  • 生理用ナプキン&ショーツ
    生理用品は1クール分、日常的に余分に在庫を。
  • おりものシート(替え用下着)
  • 尿もれパッド
  • 全身を拭けるタイプのウエットティッシュ
  • 歯ブラシ
  • バンドエイド

衣類は、女性的な色は避け、
ユニセックスな色を選ぼう。

これだけは、絶対ほしい!!
そんなこだわりグッズは用意を。

災害とジェンダー「女性であることで強いられるかもしれない問題」について。

次は、ちょっと難しいかもしれないけれど…。しっかり分かってほしいから。

※男性・女性であることに基づき定められた社会的属性や機会、女性と男性、女児と男児、さらに女性間、男性間における相互関係を意味します。

性が災害で被害を受けやすいことは、世界各地の事例や研究で明らかになっています。その原因として指摘されているのが、体格などの女性としての「性別」による結果ではなく、社会的、経済的、そして政治的に醸成された役割の枠組み、「ジェンダー」の構造や格差なのです。

残念ですが、私たちの国、現代の先進国である日本でも、その直近の被災、東日本大震災の被災時にも、その悲しみが繰り返されてしまったのです。

被災時、避難生活時に、この女性の弱い立場による大きな問題が発生してしまう。

日本の女性の社会的地位は153か国中121位(世界経済フォーラム発表、2019年「ジェンダー・ギャップ指数」「男性が働き経済を担う」という男女分業が根強い日本の社会。女性の社会進出が言われるものの、女性の管理職が異常に少ない現状があります。それには、社会の構造的、因習的に女性が「生活の現場的分野」を担わされ、表に立てない、ある面、発言権の弱さをもつ、日本の社会の形なのです。

そう、災害が人々に与える影響は「無差別」ではなく、ジェンダーや年齢、子供、障害者などによって大きく変わります。災害によってその場所に元から存在する格差や構造が、表面化するからなのです。

自然災害と女性という視点で、様々な研究分析がなされ、その4ポイントが示されています。東日本大震災でも、同様の問題が認められています。

Point.1 女性のほうが犠牲者が多い

阪神淡路大震災、死者数 女性>男性。 女性の死者は男性より36%多く、東日本大震災でも、女性、特に高齢者の方の犠牲者が多かったのです。

アジアの一部の国の様に、女性が外に出られない、学問も履修できないなどの特異な状況にはありません。が、日本にもやはり、「犠牲者が増える」社会的な通念がありました。

被災時、停電や電話の不通などで、高齢者は適切な情報を取得することが難しく、周りの声掛けでやっと逃げるなどがあった。同様に、女性は若い人でも、避難の呼びかけの情報を家族や近所から入手し、複数人で避難するなど、地域の人とのつながりが強いことも分かってきています。

また、女性は子供や、同居の高齢者など家族の心配を優先するなど、配偶者様が仕事で留守の間は、家族を守るへの責任感が強く、避難が遅れる状況があるなどと考えられています。

もしもの際に的確な情報を手に入れ、
自分の命を優先すること。

Point.2 災害後、女性への暴力が増加し、その人権が守られにくくなる。

悲しい現実ですが、被災時また避難生活中にも、女性への暴力が多く発生しています。被災の苦しみのはけ口を弱い女性や子供に向けてしまう男性がいるのです。プライバシーが保てない、避難所での生活では十分に注意が必要です。力による暴力だけではなく、「いうこと聞かないと、避難所に居られなくさせてやる」などの発言がある場合も。避難所、その後の仮設住宅での避難生活時にも同様、様々な暴力が報告されています。※東日本大震災の際には、国もいち早く女性に対する暴力防止を呼びかけています。

  • 着替えや就寝など、集団生活の中でも様々なところで注意が必要です。
  • トイレは男女共用、居住スペースから離れた場所に作られることが多い。決して、一人で行かず、ホイッスルやライトをしっかり持って。
  • 避難所、仮設住宅などでの、責任のある立場を利用した強要も。
  • 自暴自棄による「DV家庭内暴力」の激化も。ボランティアの女性にも被害が etc。
女性の人権を考えない行為。いまだに、「男尊女卑意識」が存在している。

「東日本大震災女性支援ネットワーク」で2011~12年、実態調査。その結果、10歳未満から 60代までの82人が暴力被害を受け、うち29人が性的暴行やわいせつ行為、性的嫌がらせなどの 性被害を受けたことが判明。

東日本大震災から9年。24時間の無料電話相談「よりそいホットライン」2013~2018年の 5年間に女性専用ラインに寄せられた36万件余りの相談について内容を分析した情報が公開されました。その結果、被災3県(岩手、宮城、福島)からの相談の5割以上が、性暴力被害に関する内容であることが判明。被災時のストレスのほか、被災によってのリストラなどのストレスからDVなども発生しやすい環境になる。

本来、男女の力は平等であるべき。

まずは、避難所では、一人での行動を少なくする。
単身者は周りの人と連携を。

怖い思いをした、変な話をされたなどの時は、
周りの人や信頼できる人・場所に相談を。

Point3 性別役割分担の強化により、女性の労働負担が増加する。

東日本大震災の際、多くの避難所などで、「意思決定」に女性の参画がなかったと言われています。避難所生活でも、女性は「生活現場的な役割」を担わされます。女性の労働負担が増加します。また、その中で生まれる女性にとっての苦悩を男性は理解できず、それが正しいこととされ、女性のストレスは増加するのです。

女性の声が届きにくい

例えば、

  • 物品の受け渡し、物品担当が男性で、女性の中には引き取りにいけないという人も。女性独自の商品の要望がしにくい。解ってもらえない。
  • 女性は、被災時も育児、介護、家事がある。避難所と家庭の2重の負担。
  • 炊き出しで、終日水を使いっぱなしで、手が荒れて切れた。ハンドクリームをお願いしたら、贅沢品だと言われた。
  • 炊き出しの仕事が女性に集中、強要される。終日炊き出し仕事。
  • 男性は日当をもらい瓦礫の撤去。私は炊き出しボランティア、シングルマザーで雇止めにあい、収入がほしいのに。
  • 着替える場所、下着を干す場所すらない。下着の盗難まである。
  • リーダーの男性に間仕切りを要望。「私達は家族、その団結を阻害する」と拒否された。
  • 「運営の責任者」リーダーは男性に集中。女性は口をだすなという感じ。
  • 被災時の雇止め。女性があいやすい。復興型の仕事は女性は難しい。
  • 避難所での生活の分担仕事が大変。その上、家族に「ケア」を求められる。
本来は、女性と男性の力は、平等でなければならない。補いあう関係を

東日本大震災以降、国が災害時の避難所で女性専用のスペースやトイレを確保することを促すなど、女性の視点を取り入れる流れは少しずつ進みつつあります。

女性の視点を認め、女性の人権を守るためには、
避難所の意思決定に女性を参画させることが重要なのです。

Point4 女性が災害リスク軽減に多くの役割を担え、その復興への回復力を持っている。

女性が担ってきているのは、「生活の現場的な役割。」それは、まさに、私たちが守らなければならない「生活そのもの」なのです。男性が見落としがちな部分を補完できるのは、生活者の視点=女性の視点なのです。

女性がその生活を守るための防災計画の策定や実施に参画し、その「女性の視点」を活かすことにより、実際の災害のリスクを軽減することができ、復興への回復力を増すことができるのです。

女性の視点を無視するということは、世界の半分の情報を取りこぼすということ。

人材の育成も重要問題!!

女性の視点を、平時から「防災」に取り入れることが、当たり前の社会へ。

女性も、自分たちの未来を守るため、参画意識を持たなければなりません。

防災には、「女性や子供を救いに駆けつける、力強いスーパーマンのような存在が必要」というイメージが根強く、これが男性優位を招いているのでは・・・・との声もあります。

私達自身が意識し、自分たちを守るための立ち位置を確保していかなければならないのです。

被災時に置き去りにされているのは、障害者、性的マイノリティ、外国籍住民、経済的弱者など。他にも社会的少数者の存在も見落とされてはなりません。それぞれの困難に見合うような「多様な支援」が必要ですね。

PICK UP

おすすめ記事