駅の裏側は、狭い路地の飲み屋街。高架下の場所に2階式の飲み屋が連なっている。

お隣さん

結さん

この路地、店の素人さんが作ったような照明や看板が多くて気になっていたんです。火事や落下物になり易いと思っていて。

店はまだ開いてはいなかったようだが、店によっては準備がはじまっていたようで、入口の店では厨房のボヤが出たようだった。消火器の跡で店内はぐちゃぐちゃになっていた。炭で顔を汚した人たちが片づけています。

私

火事だったんですか?

飲食店の方

飲食店の方

ここから火事は出せないよ。皆で消したんだ。

ここで火事が出たら、全ての店が延焼して、住宅街まで飛び火したかもしれない。

お隣さん

結さん

お疲れ様でした。余震も気を付けてください。

飲食店の方

飲食店の方

ありがとう…そっちもね。

この路地の電線につるしたような照明は、電線と一緒に垂れ下がり、割れていたり、看板も落ちているものが多い。ガラス扉も、破片をまき散らすように割れている。余震でそこらから割れる音、落ちる音が続いていた。

私たちは、ダンボールで頭を守るように上に構え、急ぎ足で歩きぬけた。

何人か店のスタッフらしき人が一つの店舗の前で集まっている。路地の自動販売機が倒れて、脚を挟まれている人が居るとのこと。皆で「頑張れ」と声をかけながら動かそうとしているが、壁際に沿って動いたため、力を入れたい方に手が入らず動かせないよう。

一人の男性がバールを持って走り戻ってきた。バールを壁との間に入れて自販機をみんなで引き起こす。何とか助け出せたようだ。毛布とポールで担架をつくり、すぐに病院へ搬送する。病院は医療避難所となっているとのこと。

私

すぐに助けられて良かったですね。

お隣さん

結さん

発見も早かったし、1時間近くかかってからではクラッシュ症候群が心配になります。救助の専門家がいないと助け出せなくなります。

私

クラッシュ症候群?聞いたことないです。

お隣さん

結さん

圧迫で骨格筋など細胞が壊れ、血流などがとまっているところに、圧迫が解放されることで様々な症状が起こるそうです。それで亡くなる方もいます。

私

怖いですね…。