一旦自分の部屋に戻り、ゴム手袋を持ち、結さんと2人で避難所に向う。
結さん
小さい道は、ビル目の倒壊や余震で落下物もあるので、大きな道を選びましょう
私
なぜ道がわかるのですか?
結さん
以前に避難所までのルートを確認したことがあるんです。
日常では自分のマンションは駅までほんの10分だったが、ほんの短い距離の道でも、地震が起きるその前とは全く風景が変わっていた。私は、恐怖で足がすくんだ。でも、結さんは迷いなく歩を進めてくれる。
通りに出ると倒壊した建物の前で立ちすくんでいる人、倒れたブロック塀に挟まれた人を助けている人たちがいた。
結さん
手伝いますか?
救助を
する人
なんとか大丈夫です。
助け出された方は意識がないようだった。
怪我をしている人、すでに亡くなっている人を見て、私は改めて「現実」を認識した。
私たちにできることは無く、そのまま歩を進めた。
電信柱が半分倒れていて、電線が切れて地面に垂れ下がっている。ビルのガラス窓がおちて、ガラスが細かく散らばっている。ベランダが下の階まで落ちているところもあった。ジュースの自販機が路肩に倒れていた。道路には、屋根やビルの外壁、看板が落ちている。エアコンの室外機まで落ちている。大量の瓦礫。
恐ろしい光景に震えながら、30分近くかけて駅に到着した。
駅ビルの1階にはスーパーが入っているが、棚の商品が崩れ、散乱しているのが見える。、出入りを止めているようだ。
結さん
私たちのマンションの近辺は住宅街で、小さな路地が多いので、小さな路地は危険なので、できるだけ大きな道路を使って、広域避難所兼、避難所の学校がまで向かいましょう。
高架下をくぐり、スーパーの裏の汎用口のほうへと抜けていく。
結さん
ちょっと待ってください。
結さんは廃棄されるダンボールの山から、1mくらいのダンボールを、私の分と2枚を取り、スーパーの方に声をかけた。
結さん
持っていきましょう。頭を守れますし、避難所で使えますから。